15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
「交差点での偶然の出会いが、ふたりの運命を動かしました。たった一瞬の“守りたい”が、人生を変えたのです。」

ナレーションまで入っている。

しかも、声がやけに感動的。

「これ……海くんの演出?」

「絶対そう。」

玲央さんが小さく呟いた。

弟・海くんの顔が、ちらっと遠くのゲスト席でドヤ顔しているのが見えた。

映像はやがて、ふたりが手を取り合うシーンで幕を閉じる。

「……そして今日、この瞬間が訪れました。」

会場の照明が戻る。

大きな、大きな拍手。

私は玲央さんの方をそっと見た。

彼も照れくさそうに笑っている。

でも、その目の奥には──

出会ったあの日のままの、まっすぐな想いがあった。

あの一瞬がなければ。

あの交差点がなければ。

今、こうして隣にいることはなかったかもしれない。

ふたりだけの“はじまり”が、今日この場で、皆の記憶に刻まれた。
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