15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
玲央さんは、私の手をぎゅっと強く握り返してくれた。

それだけで、何もかもが報われた気がした。

「明日は、お昼ぐらいに来るから。」

「はい。」

ベッドの上から見上げると、玲央さんが立ち上がる。その動作ひとつで、心にぽつりと寂しさが落ちてきた。

「じゃあ。」

玲央さんは軽く手を振った。

私も、少し照れながら、それに手を振り返す。

カチャリ、とドアが閉まる音。

その瞬間、病室から彼の気配がすうっと消えた。

静けさが戻る。

窓の外には、もう夕暮れがにじんでいる。

カーテンが揺れて、部屋の中に影が伸びてきた。

これで、終わったんだ――玲央さんのお見舞い生活。

机の上に、最後の花束がある。

白と薄紅のバラが混ざったそのブーケは、今までの中でいちばん、華やかだった。

まるで、「さよなら」の代わりに微笑んでいるみたいに。
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