15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
私はそっと手を伸ばして、一輪の花を指先で撫でた。

柔らかくて、優しくて、まるで玲央さんの手のひらみたい。

――私、誰かに花を貰ったことなんて、なかった。

誕生日も、卒業式も、そういう特別な日でさえ、花束を受け取るような人生じゃなかった。

だから、玲央さんが初めてだった。

花の香りが、ふいに胸の奥をくすぐった。

嬉しさと、寂しさと、ほんの少しの期待が、胸の中で静かに渦を巻いていた。

しばらくして、私はふとベッドの脇に手を伸ばし、玲央さんからもらったメッセージカードを取り出した。

白地に金の縁取り。カードの中央には、落ち着いた筆跡で「一ノ瀬玲央」とだけ、丁寧に書かれていた。

その文字を指先でなぞると、じんわりと胸があたたかくなる。

玲央さんの声や、表情が蘇ってくるみたいだった。

「明日で……終わり。」

つぶやいた言葉が、妙に重く響いた。

お昼過ぎに迎えに来てくれるって言ってた。
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