15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
彼の手が、一瞬止まった。

「保険の関係ですよね。2週間以内なら大丈夫ですよ。」

事務員さんが穏やかに答える。

「ああ、じゃあ……」

私がそう言いかけた時だった。

玲央さんの手が、私の手首に触れ、そっと押し返される。

「カードで払ってください。」

その声は静かだけれど、有無を言わせない力があった。

「はい、承りました。」

事務員さんが受け取り、カードを端末に通していく。

小さな電子音が、妙に響いた。

私は思わず玲央さんを見上げた。

「玲央さん……」

「心配しないで。俺、お金持ってるし。」

冗談っぽく笑う彼の表情には、軽さと、本気が混ざっていた。

“お金持ってるし”――

その言葉の意味を、私はすぐに理解できなかった。

けれど、その一言に、妙な説得力がある。

それは優しさ?

それとも、もう関係が変わってしまったという暗黙の距離?

笑ってくれたのに、なんだか胸の奥に、ひとしずく、沈殿していくものがあった。
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