15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
お金を支払い終え、ロビーを出ると、病院の前に見覚えのある車が停まっていた。

あの日──

私が彼を助けた、あの夜。

雨に濡れながら倒れていた彼を見つけた時の、あの高級車。

「今日、仕事だったんですか?」

私が尋ねると、玲央さんは一瞬だけ空を仰いでから、小さく頷いた。

「……ああ。」

そう言って、彼は私のためにドアを開けてくれる。

「乗って。」

その一言に、心がまた少し、温かくなった。

私は頷いて、車内へと足を踏み入れる。

レザーの香りと、静かな空気。緊張で喉が渇く。

運転席には、きちんとスーツを着た運転手さんがいた。

「……運転手さん、いたんですね。」

少し驚いた声を出すと、玲央さんは照れくさそうに笑った。

「うん。今日は一応、会社にも顔出すから。」

玲央さんも、私の隣に座る。

すぐに車が静かに動き出した。

「家、どこ?」
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