15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
少し間を置いてから、静かにそう答える。

「大学で出会いとかはないの?」

玲央さんは、何気ないようにコーヒーカップを揺らしながら聞いてくるけれど、その視線はまっすぐだった。

「いいえ、全然。」

私は苦笑いを浮かべて、手元のオレンジジュースに口をつけた。

冷たい液体が喉を通る。少しだけ気持ちを落ち着かせてから、ぽつりと呟く。

「でも……好きな人はいます。」

言った瞬間、玲央さんの表情が、ほんの一瞬だけ動いた。眉がわずかに寄って、視線が私を探るように揺れる。

「……どんな人?」

その問いは、どこか慎重で、静かだった。

私は、ストローを指でくるくる回しながら、小さく笑った。

「玲央さんみたいな人。」

そう言って、ゆっくりと顔を上げると、玲央さんの目が、少しだけ揺れていた。

でも――気づいていない。

私の言葉の意味にも、気持ちにも。
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