15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
そのまま玲央さんは「へえ」と、曖昧に微笑んだだけだった。

私の胸の奥に、小さく波紋が広がる。

でも、それでいいと思った。今はまだ、これで。

「あの、質問をしてもいいですか?」

おそるおそる言うと、玲央さんはコーヒーカップを持った手を止め、私を見た。

「どうぞ。」

私は、ずっと胸に引っかかっていたことを、ようやく言葉にした。

「あの……この前、誕生日のケーキに書かれていた言葉を見て……調べてしまいました。」

玲央さんの眉が、わずかに動く。

「玲央さん、御曹司なんですか。」

玲央さんは、戸惑ったように小さく笑った。だがすぐにその表情が消え、真剣な眼差しで私を見つめ返してきた。

「検索したら……“今一番の若手御曹司”だって。経済誌にも載っていて……」

言い終えた瞬間、玲央さんは静かに言った。

「君に、フルネームを教えなければよかったかな。」
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