15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
その言葉に、背筋がゾクッと冷えた。まるで、触れてはいけない扉を開けてしまったようで。

「ご、ごめんなさい……」

私は思わず視線を伏せた。無遠慮に詮索してしまった自分が恥ずかしかった。

けれど――

「怒ってるわけじゃないよ。」

玲央さんの声は、思いのほか優しかった。

「ただ……本当は、何者でもない俺として、君に会いたかったんだ。」

その一言が、胸の奥に、温かく、でも少し切なく届いた。

「あの、変な意味じゃないんです。」

私は慌てて手を振って否定した。

「ただその……お金持ちそうだし。その若さで副社長だし。何かあるんじゃないかと思って。」

あの日のことを思い出す。

雨の中で差し出された、紺の傘。

しなやかな動きで外された高級そうな腕時計。

体にぴったりと合ったグレーのスーツ。

あの時は気づかなかったけれど、どれも――普通じゃなかった。

玲央さんは、少し黙ったあと、テーブルに肘をつき、頬杖をついた。
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