15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
後部座席に、私がさっき渡したばかりのマグカップがぽつんと置かれている。

あんなに嬉しそうにしてくれたのに――。

「えっ……?」

かすれる声で問い返すと、玲央さんは目をそらし、ハンドルに視線を落とした。

「ひよりさんは、大学生で、将来がある。君にはもっとふさわしい人がいると思うんだ。俺はもう三十五で、大人の男だよ。たぶん、すれ違いも、出てくる。」

静かに、それでも確かに距離を置こうとする言葉。

胸がきゅっと締め付けられる。

私は迷わず体を乗り出していた。

シートベルトの拘束がわずらわしいくらいに。

「そんなこと言わないでください。時間がある時だけでいいんです。少しの時間でも、会えるならそれでいい……」

精一杯、想いをぶつけた。

その瞬間だった。

玲央さんが、私の両肩を強く掴んだ。

びくりと体が固まる。

でも、力任せじゃない。その手は、迷っていて、苦しんでいて、でも――私に触れたいと願っている手だった。
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