15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜
「……君がそうやってまっすぐ来るから、余計にダメになるんだよ。」

低く、かすれた声。

近い距離にいるはずなのに、玲央さんの顔が遠く感じた。

「俺は君が思ってるほど、優しくも、誠実でもない。……これ以上、君に触れたら、自信がないんだ。」

まっすぐ私を見るその目に、どれだけの葛藤があるのか。

私はただ、まばたきもできずに見つめ返していた。

そしてそっと、口を開く。

「それでも……私は、玲央さんがいいんです。」

私の声は震えていたけれど、本心だった。

ふいに、玲央さんの腕が私の肩を包んだ。

「……えっ。」

声にならない声が漏れる。

優しくて、でもどこか切実で、どうしようもない気持ちが、その腕の強さから伝わってくる。

一瞬、時間が止まったようだった。

でも次の瞬間、玲央さんはそっと身体を引き離した。

その動作はとてもゆっくりで、名残惜しさがにじんでいた。
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