私のテディベアに、私が溺愛されるまで
陸はクスッと笑ったあと、少し真剣な顔に戻った。

「じゃあ、俺からのお願い」

一朗がゆっくり視線を上げる。

「……なんだよ」

陸は腕を組み、ソファに深くもたれながら言った。

「楓のこと、考察してみてよ」

「……は?」

「文学みたいにさ」

一朗はグラスを持ったまま、ぽかんとした顔になる。

「……おまえなぁ」

陸は小さく笑みを浮かべた。

「俺は姉弟だし、近くずっとみてきたから、姉貴の気持ち、だいたい分かる。でもさ――」

真剣な目で一朗を見据える。

「一朗にいがちゃんと楓を“人”として見てやらないと、姉貴がずっと可哀想だ」

一朗は何も言い返せず、ただ氷の溶ける音を聞いていた。
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