私のテディベアに、私が溺愛されるまで
一朗の部屋に入ると、扉が静かに閉まる音がした。

楓をそっと降ろすと、一朗は深く息を吐き、彼女の両肩に手を置いた。

楓は少し恥ずかしそうに視線を逸らしたまま、一朗のTシャツの裾をくいっと掴む。

「……一朗のそばに、いたい」

その言葉を聞いた瞬間、一朗の瞳がゆっくりと熱を帯びる。

「……じゃあ、覚悟しとけよ」

楓が息を呑む間もなく、一朗は彼女の身体をぐいっと引き寄せた。

「きゃっ……!」

楓の背中がベッドに沈み、すぐに一朗が覆いかぶさる。

「い、一朗っ……!」

「楓……可愛すぎるんだよ……」

一朗の手が、楓の頬をそっと撫で、髪を指先でほどくように撫でる。

「俺、今まで、なんで気づかなかったんだろうな」

「な、何が……?」

「お前がどれだけ、俺を想ってくれてたか」

一朗の声は低く甘い。

「そして、俺がどれだけ……お前を欲しがってたか」

楓の目が潤み、微かに震える唇が開く。

「……ほんとに?」

「……ああ。楓の全部、欲しい」

そう言った瞬間、一朗は楓の首筋に口づけを落とした。

「んっ……!」

楓は思わず声を洩らし、身をよじる。

「や、優しくして……」

「……優しくする」

けれどその声は、どこか熱を含んでいて。

楓の鎖骨に、一朗の唇が何度も触れる。

指先が、楓のオフショルダーの生地を丁寧に扱いながら、そっと肌を撫でる。

「一朗……っ」

「俺さ、溺愛してる自覚はあったけど……」

楓は息を弾ませながら、一朗を見上げた。

「……こんなに抑えられないもんだと思わなかった」

楓は目を丸くした。

「お、おさえなくていいよ……私も……」

一朗は苦笑するように微笑んで、楓の額に唇を落とした。

「……わかってる。でも、無理に乱暴にはしたくねぇんだよ」

「一朗……」

「楓が好きだって……言わせるまで、離さないからな」

「なっ……!」

「言うまで、いっぱい可愛がる」

楓の瞳が一瞬で潤み、口を開けかける。

だが次の瞬間、一朗が甘く深いキスで言葉を奪っていった。

楓は必死にそのキスを受け止めながら、心の奥で確信した。

——一朗の溺愛は、想像以上だった。
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