女王陛下のお婿さま
 アルベルティーナは、昔、母の胸で泣いていた小さな子供の頃に還ったみたいな気持ちになっていた。

「……ティナ、秘密の話を教えてあげるわ」

「秘密の……話し……?」

「実はね、母さまと父さまは結婚を酷く反対されていたのよ」

「え……?」

 突然のエメリナの打ち明け話。だけどアルベルティーナは信じられなかった。アルベルティーナが知っている父と母は、理想の夫婦だと誰もが称賛しているのだから。

「父さまと母さまは年がたくさん離れているでしょう? だから、釣り合わないって……私は若すぎて、国王の(きさき)には相応しくないってみんなに反対されたの」

 エメリナとクリストフは、城の舞踏会で出逢った。当時まだ若かったエメリナは、たちの悪い貴族の男にしつこく言い寄られていた。それを助けたのが、クリストフだった。

 優しく温厚なクリストフにエメリナは心惹かれ、愛らしくたおやかなエメリナにクリストフは恋に落ちた。

 愛し合う二人には、年齢の差なんて問題ではなかったが、周囲はそれを許さなかったのだ。

「――それで? それでお父様とお母様はどうしたの?」

 いつの間にかアルベルティーナはエメリナの話に夢中になっていた。あれだけ泣いていた、涙も止まるほどに。

「ティナも知っている通り、父さまは心の優しい方でしょう? それに、国王でもあった。だから……」

 だから、クリストフはエメリナとの結婚を諦めたのだ。

「そんな……! え……? でも……」

 結婚を諦めたのにどうして二人は今、結婚しているんだろう。一体何がどうなったのか、アルベルティーナには分からなかった。

「父さまも、今のティナと同じ。自分は国王だから、国民のみんなが祝福してくれるような結婚をしなくてはいけない、そう考えたみたいなの」
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