女王陛下のお婿さま
 ファビオの要望通り、アルベルティーナの供はクラウスとマイラだけ。彼の方も、男性二人の従者だけとなった。女王陛下の外出にしては人数が少ないが、行く先は王家所有の土地だ。一般人は入れず、警備兵が常に巡回しているような場所なのでそれでも問題は無かった。

 ファビオはアルベルティーナと馬の二人乗りで行こうとしたが、マイラの強力な反対を受け仕方なく、アルベルティーナは馬車で。ファビオと彼の従者と、クラウスは馬で。マイラはもう一台の馬車に、荷物と一緒に乗り込んで行く事になった。

 ……本当は、アルベルティーナも一人で馬に乗りたかったのだが、マイラに怒られそうなので諦めた。


 目的の鏡の泉には、お昼前には到着した。

 馬車から降り立つと、アルベルティーナは辺りを見回し空を見上げ、嬉しそうに大きく深呼吸。思わずそうしたくなる程、自然の美しい所だった。

 湖の周りは森の木々に囲まれ、その向こうには猛々しい山が見える。

 『鏡の泉』と呼ばれているくらい水は澄んでいて凪、空の青さを映し。少し向こうでは小舟に乗る事が出来るようになっていた。足元は草が柔らかに生え、所々で小花が可愛らしく咲き風に揺れて。

 とりあえず持参した昼食の準備が出来るまで、アルベルティーナはファビオと湖畔を散策する事になった。

 ただ歩くのも退屈だというファビオは、二人で小舟に乗る事を提案した。『二人きり』という所にアルベルティーナは少し躊躇したが、強引なファビオには敵わなかった。

 結局ほぼ無理矢理にエスコートされ、小舟に乗せられてしまったのだった。
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