女王陛下のお婿さま
彼女が差し出された手を掴む前に、森の木々を大きく揺らして、突風が山から吹き下ろしたのだ。突風は瞬く間に行ってしまったが、湖の穏やかだった水面はその風に大きな波をたて小舟をぐらりと揺らした。
その揺れにアルベルティーナは小舟の上でバランスを崩し、そのまま湖へ投げ出されてしまったのだ。
「――アルベルティーナ!」
ファビオの声が聞こえたが、アルベルティーナは水の中へ沈んでゆく。じたばたともがいたが、着ているドレスが水を吸い、重くて全く浮き上がれなかった。
今日はいつもより薄いパニエだったが、それでも結構な長さと厚みがある。それがどんどん水を吸ってしまっていた。
手を伸ばしても、下へと落ちてゆく。息が苦しくなって意識が遠退く瞬間――
「――ティナ!」
クラウスの声が聞こえた気がした……
◇
その揺れにアルベルティーナは小舟の上でバランスを崩し、そのまま湖へ投げ出されてしまったのだ。
「――アルベルティーナ!」
ファビオの声が聞こえたが、アルベルティーナは水の中へ沈んでゆく。じたばたともがいたが、着ているドレスが水を吸い、重くて全く浮き上がれなかった。
今日はいつもより薄いパニエだったが、それでも結構な長さと厚みがある。それがどんどん水を吸ってしまっていた。
手を伸ばしても、下へと落ちてゆく。息が苦しくなって意識が遠退く瞬間――
「――ティナ!」
クラウスの声が聞こえた気がした……
◇