女王陛下のお婿さま
出席したのはハレルヤ王国現女王アルベルティーナと、前国王クリストフ。ヘーメル国からは国王マクシム・オット・ヘーメルと、その息子ルイ・ファン・ヘーメル。他は数名の官僚などだけだ。
調印が滞りなく終わると、そのまま会食となった。クリストフとヘーメル国の王マクシムは長い併合の話し合いや手続きの中で、年齢も近い事から気が合い親しく話すようになっていた。
「――今日の調印でやっとひと段落ですね。私もヘーメルの国民も、安堵しました。ありがとうございます、クリストフ様」
「いえ、でも……本当にこれで良かったのですか? 併合してしまうと、ヘーメルの王家がなくなってしまうというのに……」
併合するとヘーメル国はハレルヤ王国になる。一つの国に二つの王家を作るわけにはいかない。必然的に、ヘーメル王家は消滅。今後は公爵を名乗る事になる。
心配そうなクリストフの言葉に、マクシムは優しく微笑んだ。
「国民を守れない王家など、存在する意味はありません」
はっきりと言い切ったマクシムは、真っ直ぐにクリストフとアルベルティーナを見つめた。
その視線を受け止め、アルベルティーナは背筋を伸ばす。
「ヘーメルの国民は今後は自国民同様、私が大切に守ります」
「宜しくお願いします、アルベルティーナ女王陛下」
マクシムは丁寧に頭を下げた。
ヘーメルの国民はハレルヤ王国の国民になる。マクシムから引き継いだ人々を、今度はアルベルティーナが守るのだ。その責任の重さを、彼女は噛み締めていた。
同時に、チクリと胸が痛む。
『――……あの頃とは違う。お前が守るのは、この国の国民だ……お前は『女王陛下』なんだから』
クラウスの言葉が頭を過ったが、それを隠すようにアルベルティーナは無理に笑顔を作った……
調印が滞りなく終わると、そのまま会食となった。クリストフとヘーメル国の王マクシムは長い併合の話し合いや手続きの中で、年齢も近い事から気が合い親しく話すようになっていた。
「――今日の調印でやっとひと段落ですね。私もヘーメルの国民も、安堵しました。ありがとうございます、クリストフ様」
「いえ、でも……本当にこれで良かったのですか? 併合してしまうと、ヘーメルの王家がなくなってしまうというのに……」
併合するとヘーメル国はハレルヤ王国になる。一つの国に二つの王家を作るわけにはいかない。必然的に、ヘーメル王家は消滅。今後は公爵を名乗る事になる。
心配そうなクリストフの言葉に、マクシムは優しく微笑んだ。
「国民を守れない王家など、存在する意味はありません」
はっきりと言い切ったマクシムは、真っ直ぐにクリストフとアルベルティーナを見つめた。
その視線を受け止め、アルベルティーナは背筋を伸ばす。
「ヘーメルの国民は今後は自国民同様、私が大切に守ります」
「宜しくお願いします、アルベルティーナ女王陛下」
マクシムは丁寧に頭を下げた。
ヘーメルの国民はハレルヤ王国の国民になる。マクシムから引き継いだ人々を、今度はアルベルティーナが守るのだ。その責任の重さを、彼女は噛み締めていた。
同時に、チクリと胸が痛む。
『――……あの頃とは違う。お前が守るのは、この国の国民だ……お前は『女王陛下』なんだから』
クラウスの言葉が頭を過ったが、それを隠すようにアルベルティーナは無理に笑顔を作った……