女王陛下のお婿さま
「――こちらが舞踏会などに使っている大広間です。今は予定も無いので飾り付けも何もしていませんが、ご覧になりますか?」
「……いえ、特には」
「そうですか……では、あちらの中庭に行ってみませんか? 今はミモザの花が満開で綺麗ですよ。その向こうには父が作った湯殿もあります。お疲れでしたら入浴も……」
「……結構です」
「そうですか……」
アルベルティーナは困り果てていた。ヘーメル国のルイ王子に城の中を案内しているのだが、さっきから一向に話しが弾まないのだ。何処を案内しても、何を話しても、ルイはただアルベルティーナを見つめてさらりと返事をするだけで、何にも興味を示さない。彼は表面上はニコニコと笑顔なのだが、ちっとも楽しくなさそうで。
だがそれは彼女も同じだった。こんな案内では、ちっとも楽しくない。
「…………」
「……」
中庭へ到達する頃にはとうとう、アルベルティーナもルイも、黙り込んでしまった。
黄色が色鮮やかなミモザの花に向かってアルベルティーナは思わずため息をこぼした。すると、初めてルイが口を開く。
「……あの、アルベルティーナ女王陛下……大変不躾で恐縮ですが……一つ、お願いがあるのですが……」
この際、不躾でも恐縮でも、何だろうがアルベルティーナは構わなかった。やっとルイが何か言い出したのだ、お願いでも何でも聞いてしまおう! それぐらいの気持ちで振り返り、彼に笑顔を向けた。
「何でしょう? 私に出来る事でしたら……」
「僕と結婚して下さいませんか?」
「……は? え、えええ?!」