女王陛下のお婿さま
 アルベルティーナはもう一つ、砂糖菓子を口に入れた。やはり、ほろ苦さが舌に残る。

「……あの、ファビオ王子」

「ん、何だ?」

「クラウスは、元気ですか……?」

 クラウスはいまだファビオの侍従をしていた。だが、普段は王子に付き従っているのに、ここ数日は姿を見せていない。これだけ広い城内だ。別行動をしていれば何日も会わない事はよくある。だからそんなに心配するような事ではないのは、アルベルティーナも分かってはいるが。

 何だか……避けられているような気がして……

 ファビオにそう聞かずにはいられなかった。

「ああ、元気だろうよ。数日前からちょっと使いに出してるから、俺も会ってはいないが」

 使いに……

 その言葉に、避けられているわけでは無いのが分かり、ホッとした。そもそも城に居なかったのだから。

「使いって……何処へ出したのですか?」

 アルベルティーナの問いかけに、何故かファビオは悪戯な笑みを浮かべた。

「……秘密。まあ、そんなに遠くじゃないから、舞踏会当日には戻って来るはずだ」

 結局、クラウスが何処へ行ったのかは分からなかった。

「クラウスが、心配か?」

「……いえ、大丈夫です」

 心配なのではない。では、この胸の痛みは何だろう……不安? 悲しみ? それとも……

 さっきのルイの言葉を思い出す。

『――僕には孤独や寂しさ、辛さ……貴方が感じているそんな気持ちがよく分かるんです』

 自分でも分からないようなこんな気持ちも、ルイは分かってくれるのだろうか。
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