女王陛下のお婿さま
正装に身を包んだファビオは、いつも城をウロウロしているだらしない風体とは違い、ちゃんと美男な王子様になっていたのだから。
彼の褐色の肌に映える真っ白な絹で出来た、丈の長いゆったりとした上着と、同じ素材のゆったりとしたズボン。それには金色の糸で刺繍が施されている。肩に掛けられているのは、共布で出来たマントのような大きな長いスカーフ。それにも素晴らしい金刺繍がされていた。
特徴的なファビオの紅蓮の髪には、やはり白い絹のターバンが巻かれ、その色をいっそう鮮やかに見せていた。
何処から見ても美しく逞しい、南国の王子様だ。
「――ヘーメル国第一位王子、ルイ・ファン・ヘーメル王太子のお出ましでございます!」
ファビオがアルベルティーナの隣まで歩み進むと、ニコライは先程と同じように、また声を上げた。
そして現れたのは、ルイ王子。会場中の淑女たちからファビオの時とは違う、感嘆のため息が零れる。
上品な濃紺の燕尾服で、中に着ている白いベストには金の刺繍。右肩には共布のマントを掛け、左の胸には勲章が幾つか付けられている。腰には式典用の飾太刀(かざりたち)なのだろう、銀の装飾が見事な片手剣を刺していた。金髪碧眼で優し気なルイの顔つきも相まって、そのいで立ちは本当に妖精の王子様のようだった。
ルイもアルベルティーナの傍へ。ファビオとは逆の位置に立つと彼らの入ってきた大扉が静かに閉められた。
アルベルティーナは二人にゆっくりと視線を合わせてから、会場の皆に向き直る。そして――
「――良い夜です。今宵は海を越えた重要な隣国のファビオ王子と、これから共に歩んで下さる友好国のルイ王太子が来てくださっています。歓迎の宴を、皆も存分に楽しまれよ」