女王陛下のお婿さま
 ルイはそう言うと立ち上がり、長椅子の背もたれの向こうへゆっくりと回り込んだ。そしてその背もたれの上からアルベルティーナを見下ろすと、今までとは違う笑みを浮かべる。

 妖精の様だった美しさは消え失せ、何かを企んでいるような、誰かを陥れようとしているかのような、あくどい笑み。

「残念ですが、今はそれどころでは無いからですよ」

(それどころでは無い……?)

 ルイの言葉の意味を考える前に、扉の向こう――大広間から、何かを壊す大きな音と、キャーという誰かの怯えた叫び声が聞こえた。





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