女王陛下のお婿さま
――そんな大広間の様子を、隣の部屋で聞いていたアルベルティーナ。身体はまだ、思う様に動かない。それどころかどんどん悪くなっているような気がする。
それでも力を振り絞って半身を持ち上げた。
「貴方は、初めからこれが目的で……」
長椅子の背もたれの方にいるルイを睨みつけながら、苦しい息の下アルベルティーナは言った。しかしルイは、そんな彼女の言葉に妖精のような微笑みを返した。
そして前に回ると、アルベルティーナの隣に腰かけた。
「――僕はね、ずっと反対だったんですよ。いくら国が危機だとしても、ハレルヤと併合するなんて間違ってる、と」
ルイは手を伸ばすと、アルベルティーナの頭に乗っている小さな王冠に触れた。それは舞踏会で彼女が時々使用するレプリカだ。公式の祭典などの時は、もっと大きな本物を被るのだが。
レプリカと分かっていても、ルイはそれを愛おしそうに指先で撫でる。
「でも、父上は僕の反対なんて聞き入れてくれなかった。国民が一番大事だとね。僕は違う。僕は、ヘーメル王家を存続させたいんです。愚鈍な国民の為に、今の地位を無くすなんて我慢出来ない!」
「そんな……」
「初めは、貴方と結婚すればいいと思っていました」
ルイはアルベルティーナの頭から王冠を取ると、自分の頭に乗せ満足そうに微笑む。
「貴方と結婚して、適当に言いくるめて王位を譲って貰おうと思っていたんです」
だからルイは、今回の調印式に来たのだという。