女王陛下のお婿さま
アルベルティーナとファビオの婚姻の支度は、粛々と進んでいた。
本来なら、結婚式の前に国民に女王が結婚する事を報告する、婚約式というものがあるのだが……アルベルティーナはそれを省略し、すぐに結婚式をする事にしてしまった。
その結婚式も、あと三週間後という早さだ。
アルベルティーナがそれほど結婚を急いだ理由は一つしかない。
クラウス……
彼女の周りの者も皆、アルベルティーナが城を去った彼を忘れようとしている事に気づいている。だから、結婚を急ぐアルベルティーナには、誰も何も言わなかった。いや、言えなかったのだ。
――その日は、何度目かのファビオと式の打ち合わせだった。アルベルティーナの私室で、誰を招待するのかという招待客についての話し合いだ。
しかし大国の女王と王子の結婚だ。政治的にも国的にも、二人の招待したい者たちの他にも、大勢の参列者になるだろう。その辺の人たちは、後で行事の補佐役をしているニコライがナバルレテ国と連絡をとりながら決める事になっている。
二人が決めるのはごく親しい者だけだった。
「――ファビオ王子は、兄上様方にはもう連絡したのですか?」
応接用のソファに座り、ファビオの向かいでマイラの出してくれた紅茶を飲みながらアルベルティーナはそう聞いた。彼は茶菓子に出されたクッキーを摘まんでいる。
「まあ、使いは出しているが。俺の従者は体に無理の利かないじーさんばかりだからな、式の前に間に合うかどうか。もっと若いのを出せれば良かったんだが」
ファビオが暗に示しているのはクラウスの事だ、アルベルティーナはそう感じていた。
本来なら、結婚式の前に国民に女王が結婚する事を報告する、婚約式というものがあるのだが……アルベルティーナはそれを省略し、すぐに結婚式をする事にしてしまった。
その結婚式も、あと三週間後という早さだ。
アルベルティーナがそれほど結婚を急いだ理由は一つしかない。
クラウス……
彼女の周りの者も皆、アルベルティーナが城を去った彼を忘れようとしている事に気づいている。だから、結婚を急ぐアルベルティーナには、誰も何も言わなかった。いや、言えなかったのだ。
――その日は、何度目かのファビオと式の打ち合わせだった。アルベルティーナの私室で、誰を招待するのかという招待客についての話し合いだ。
しかし大国の女王と王子の結婚だ。政治的にも国的にも、二人の招待したい者たちの他にも、大勢の参列者になるだろう。その辺の人たちは、後で行事の補佐役をしているニコライがナバルレテ国と連絡をとりながら決める事になっている。
二人が決めるのはごく親しい者だけだった。
「――ファビオ王子は、兄上様方にはもう連絡したのですか?」
応接用のソファに座り、ファビオの向かいでマイラの出してくれた紅茶を飲みながらアルベルティーナはそう聞いた。彼は茶菓子に出されたクッキーを摘まんでいる。
「まあ、使いは出しているが。俺の従者は体に無理の利かないじーさんばかりだからな、式の前に間に合うかどうか。もっと若いのを出せれば良かったんだが」
ファビオが暗に示しているのはクラウスの事だ、アルベルティーナはそう感じていた。