女王陛下のお婿さま


 ――定例会議は滞りなく終了し、アルベルティーナは簡単な昼食をとった。

 あまり食欲は無かったが、食べないとマイラをまた心配させてしまう。だから口の中に無理矢理押し込んだ。

 後にウェディングドレスの仮縫いが待っているので、それを考慮した少な目の食事だったのが幸いだった。コルセットでウエストをギュっと引き締めるので、お腹いっぱいにしてしまうと苦しくなるからだ。

 仮縫いは南棟にある衣装部屋。そこは城の衣装部屋の中でも一番広い部屋で、着付けの為のスペースもある。そこを締め切り、お針子二人とマイラの四人で籠る。

 事前に数着分選んでいたデザインを、一つずつ仮縫いしてゆく。何着か作り、そこからまた選ぶ事になっていた。

 アルベルティーナは、まるで人形のようにじっと立たされ、体に次々と布を当てられそれをお針子が止め縫ってゆく。

 衣装部屋の扉を叩く音が聞こえたのは、丁度三着目の仮縫いが終わる所だった。マイラが扉を開けると、そこには思いがけない人物が立っていた。

「――エメリナ様?!」

 驚いたマイラが思わず大声を上げた。そして中へゆっくりと入ってきたのは、間違いなくアルベルティーナの母親、エメリナだった。

「お母様?! こんな所に一人でおいでになるなんて、どうされたの?」

 一人で入って来たエメリナに驚いたのは、アルベルティーナもだった。仮縫いをしていたお針子も、作業の手を止め慌てて膝をつく。

「どうもしないわ、ティナ。貴方に会いに来ただけよ。ここでドレスの仮縫いをしていると聞いたから」

 エメリナはそう言いながら優しく微笑むと、アルベルティーナへ近寄った。
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