ハイエナ令嬢:幼なじみの年下魔王
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「魔族というのは、実験的な欠陥生物だよ。共食いする動物はいるが、普通の高等動物はあまりやらない。ましてや共食いで人間の血肉を捕食して酵素を補充しないと生きられないとか、そんな生き物はかなり異常なのさ。
古い文献の面白実験とやらで、ネズミの平和コミュニティの飼育実験なんて逸話があるんだけど、最後は凶暴な個体が無茶苦茶やって全部破滅したってさ。通常だったら統率力のある個体が指揮して結束したり、賢い個体のやり方を模倣して皆が群れでサバイバルや向上するけれど、外敵がいなくて脅威もなく日々の糧を得るための心配がなくなればそういう有能な個体もたいして価値がなくなる。反対に、普通だったら見捨てられるような、無駄に凶暴で加害性・攻撃性の高いだけの個体が閉鎖空間で幅をきかせて横暴で無双して、他のオスたちを迫害して無気力にして窮死させる。もし統率力のある奴や賢い奴が残っていたら、そいつらが対抗するからそうはならないけど(単体戦闘力で劣っても二対一・三対一とか集団全体で「反社」を袋叩き)、とっくに(対抗や対処できる個体たちが)いないし無能化や弱体化してるからやりたい放題。
最後にはその凶暴ヤクザのグループが独占したメスたちどころか、自分たちの子供まで虐待しだす。なにせ凶暴なだけが取り柄で勝っただけの奴らで、思慮や良識も生産性もゼロだから。それでメスもとうとうそいつらを無視してそいつの子供も育てずに見捨てるようになって、ついには新しい子供も出来なくなって全滅。平和なはずの満ち足りた閉鎖空間コミュニティで何の外的脅威もないはずなはずなのに、自分たちだけで勝手に全滅。
だから魔族ってのは、人間全体の中ではその凶暴グループのネズミと同じことだ。
もしも「進歩した人類の分派」というなら、エルフやドワーフとか、混血の隔世遺伝で魔術を獲得した一部の人間たちの方こそ、成功事例だろう。魔族って戦闘力と凶暴性だけは凄いけど、エルフやドワーフみたいに協調性や良識がないし、技能魔法(クラフト)はろくに使えない。あるのはただ暴力と恐怖の支配と搾取だけで、そんな奴らが統治者や有力者になったら衰退して当たり前。
だいたい、今の魔族やエルフ・ドワーフのはじまりが、古代以前の魔術者たちが「人工的な進化」とやらを目的に、それまで人間から作られたことは、そういう方面での知識のある者だったら誰でも知っている。
だが魔族は、それを認めたら自分たち自身が「失敗作」だったってことになるから、なんもかんのとイデオロギーを作って「自分たちは支配種族なんだ」と主張する。でも現実には、最後は人間やエルフに吸収されるか(選別されて)滅ぼされて抹殺されるか、だ。その運命を薄々と予見しているから、余計に意固地になって抵抗するし、人間に敵意や悪意をみなぎらせる。非常に危険で迷惑だが、本質は滑稽で哀れな奴らでもあるのさ」
いつか、クリュエルと話したことがある。
ヤギョ・パーンは魔族そのものの存在価値にはかなり否定的だったりする(必要悪や、過渡期の便宜上・一時的な存在としか思っていないらしい)。理由は多くの魔族には「生産性がない」ことと、「無駄に悪意が強すぎる」ことだという。
まだ、あの「骨董品」で「町に飼育されるライオン」(ヤギョ曰く)の父侯爵の魔王レオ・クルスニコなどは勇武と闘争の価値観や上位者・支配種族のプライドにこだわるだけで、多少とも限度をわきまえたり彼なりの倫理観もあるからさほどの実害はない(だから長期間に渡って容認されたし、一応は人間やエルフとの併存もできていた)。しかしそれはむしろ「ベターな部類の例外」でしかない。多くの場合には魔族の支配下の領域は荒廃する。過剰な搾取や暴力・虐待の悪意の風潮が支配的になるからだ。
「もしも、魔族に存在意義があるならば、人口爆発での自滅を抑制することや、脅威や敵が存在することで緊張状態にして、人間やエルフの団結を促したり無気力で滅ばないための必要悪だろうかね」
だから、ヤギョ・パーンからすれば、別段に「魔族」のアイデンティティやプライドに固執する意味がなかった。半分が人間の弟・妹までいるとなってはなおさらだ。父侯爵は難物ではあったが、命乞いくらいはしてやって、性分に合った犯罪者狩りでもさせておけば良いと思っていた。
「魔族というのは、実験的な欠陥生物だよ。共食いする動物はいるが、普通の高等動物はあまりやらない。ましてや共食いで人間の血肉を捕食して酵素を補充しないと生きられないとか、そんな生き物はかなり異常なのさ。
古い文献の面白実験とやらで、ネズミの平和コミュニティの飼育実験なんて逸話があるんだけど、最後は凶暴な個体が無茶苦茶やって全部破滅したってさ。通常だったら統率力のある個体が指揮して結束したり、賢い個体のやり方を模倣して皆が群れでサバイバルや向上するけれど、外敵がいなくて脅威もなく日々の糧を得るための心配がなくなればそういう有能な個体もたいして価値がなくなる。反対に、普通だったら見捨てられるような、無駄に凶暴で加害性・攻撃性の高いだけの個体が閉鎖空間で幅をきかせて横暴で無双して、他のオスたちを迫害して無気力にして窮死させる。もし統率力のある奴や賢い奴が残っていたら、そいつらが対抗するからそうはならないけど(単体戦闘力で劣っても二対一・三対一とか集団全体で「反社」を袋叩き)、とっくに(対抗や対処できる個体たちが)いないし無能化や弱体化してるからやりたい放題。
最後にはその凶暴ヤクザのグループが独占したメスたちどころか、自分たちの子供まで虐待しだす。なにせ凶暴なだけが取り柄で勝っただけの奴らで、思慮や良識も生産性もゼロだから。それでメスもとうとうそいつらを無視してそいつの子供も育てずに見捨てるようになって、ついには新しい子供も出来なくなって全滅。平和なはずの満ち足りた閉鎖空間コミュニティで何の外的脅威もないはずなはずなのに、自分たちだけで勝手に全滅。
だから魔族ってのは、人間全体の中ではその凶暴グループのネズミと同じことだ。
もしも「進歩した人類の分派」というなら、エルフやドワーフとか、混血の隔世遺伝で魔術を獲得した一部の人間たちの方こそ、成功事例だろう。魔族って戦闘力と凶暴性だけは凄いけど、エルフやドワーフみたいに協調性や良識がないし、技能魔法(クラフト)はろくに使えない。あるのはただ暴力と恐怖の支配と搾取だけで、そんな奴らが統治者や有力者になったら衰退して当たり前。
だいたい、今の魔族やエルフ・ドワーフのはじまりが、古代以前の魔術者たちが「人工的な進化」とやらを目的に、それまで人間から作られたことは、そういう方面での知識のある者だったら誰でも知っている。
だが魔族は、それを認めたら自分たち自身が「失敗作」だったってことになるから、なんもかんのとイデオロギーを作って「自分たちは支配種族なんだ」と主張する。でも現実には、最後は人間やエルフに吸収されるか(選別されて)滅ぼされて抹殺されるか、だ。その運命を薄々と予見しているから、余計に意固地になって抵抗するし、人間に敵意や悪意をみなぎらせる。非常に危険で迷惑だが、本質は滑稽で哀れな奴らでもあるのさ」
いつか、クリュエルと話したことがある。
ヤギョ・パーンは魔族そのものの存在価値にはかなり否定的だったりする(必要悪や、過渡期の便宜上・一時的な存在としか思っていないらしい)。理由は多くの魔族には「生産性がない」ことと、「無駄に悪意が強すぎる」ことだという。
まだ、あの「骨董品」で「町に飼育されるライオン」(ヤギョ曰く)の父侯爵の魔王レオ・クルスニコなどは勇武と闘争の価値観や上位者・支配種族のプライドにこだわるだけで、多少とも限度をわきまえたり彼なりの倫理観もあるからさほどの実害はない(だから長期間に渡って容認されたし、一応は人間やエルフとの併存もできていた)。しかしそれはむしろ「ベターな部類の例外」でしかない。多くの場合には魔族の支配下の領域は荒廃する。過剰な搾取や暴力・虐待の悪意の風潮が支配的になるからだ。
「もしも、魔族に存在意義があるならば、人口爆発での自滅を抑制することや、脅威や敵が存在することで緊張状態にして、人間やエルフの団結を促したり無気力で滅ばないための必要悪だろうかね」
だから、ヤギョ・パーンからすれば、別段に「魔族」のアイデンティティやプライドに固執する意味がなかった。半分が人間の弟・妹までいるとなってはなおさらだ。父侯爵は難物ではあったが、命乞いくらいはしてやって、性分に合った犯罪者狩りでもさせておけば良いと思っていた。