ハイエナ令嬢:幼なじみの年下魔王
6:監獄要塞村に遊びに行こう!
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退廃した都市ボーナを一日以上は離れた荒野に、それは存在する。
通称「ハイエナ監獄」または「監獄要塞村」。
そこには、このボーナの地方と地域だけでなく、周辺の都市や地域からも、委託で投げられて送られてきた凶悪犯・悪質犯罪者たちが圧倒的多数で集結している。
彼らはもはや更生など求められていない。せいぜい「二度とシャバに出てこないでくれ」「死んでくれ」としか思われていない者たちだ。あるいは「普通に死刑にするくらいでは犯してきた罪と釣り合いがとれない」のである。
適度な苦痛と絶望を与え続け、また刑務所施設の運営費や生活費のため、農作業や出向での鉱山労働なども課せられている。だがもう一つの目的は魔族の直接支配下の領域に対峙する「最前線の要塞」としての役目もある。
そのため、特殊な「村」としての側面があって、必ずしも囚人たちへの懲罰と虐待だけが役割ではない。むしろその「監獄要塞」施設とシステムの存在によって、もはや救いようのない者たち(死ぬか殺されるしかない)が最低限でも人間として生きられる「最後の楽園」という一面もある。恩赦を得て減刑・釈放許可や自由身分になっても自発的に「雇用兵士」としてとどまる者もいたし、行いによって「囚人農奴」や「囚人奴隷戦士」としての地位を与えられる者も多かった。
彼らは独特の村と集団を作り上げている。
指揮をとるのは獄長ロイ・ロドリゲス。人間の勇士の父とハイエナ氏族エルフの母から生まれた豪傑で、都市防衛軍の戦士団では上級大尉を勤めた男。そしてキランの伯父でもある。
2
そこはまさに要塞、石の壁が囲っている。
内部からの脱走のみならず、外部からの侵攻をも跳ね返すトラップと監視の防衛地帯。逃亡や反抗は固く禁じられ、日々に割り当てられた労働を課され、非常時には戦って死ぬことが半強制的に求められるのだが、そこには「秩序と正義と救い」もあるのだという。
ある囚人が語ったことには「最初からここに来ることが出来ていれば、俺は凶悪犯の死刑終身囚になんかならずに済んだだろう」と。
たしかに内部では懲罰や喧嘩はあるのだが(たまに死亡者も出る)、看守役のプロの職業軍人たちや囚人兵士たちが監督して規律があるために、「ほどほど」で済んでいる(ギャング集団・スラムの理不尽で際限ないリンチの恐怖よりはよほどましだった)。勤務態度と努力次第で要塞内での兵士としての階級も与えられるし、衣食や娯楽・慰安もそれなりに与えられる慈悲深さ。自由や人権が制限されているとはいえ、ギャングの支配する退廃した区域・地域の無法地帯よりよっぽどベターな可能性すらあった。
ここに来て「字が読めるようになったし計算も出来るようになった」という奴もいる。刑務所内の通貨ポイントがあって、多少は必要な買い物もできるし、残してきた家族や被害者遺族たちへの僅かながらの賠償(通貨に換算される)や文通・プレゼントも許されている。そして何より魔族との戦いで戦死した場合(または危険な労働で死亡した場合)には、出身地域で「志願兵の戦死者・殉職者に準じて」扱われるように配慮される(通常よりは少額でも、家族・遺族のために一時金が出たり名誉も回復され、多少は「罪を償った」として「尊厳を取り戻せる」)。
本人たちも自分のどうしようもなさや犯罪と暴力を止められない病んだ性質を自覚はしつつ、「ようやく本当の自分を取り戻せた、屑でもこういう生き方も出来るとわかった」という見方もある。死亡や戦死した際に、被害者遺族曰く「死んでくれて良かったしホッとしたし嬉しいけれども、彼の魂が救われることは否定しない」「天国にいって被害者に謝ってこい」という優しい言葉もあり、不完全で歪んだ形なりにもわかりあえて許して貰えることも多いようだ(良かったね!)。
そんな具合であるため、「特に死刑判決の重罪や犯罪者でもないのに、自分たちから自発的に集まってくる連中」もいて、そいつらが近くにキャンプ村を作っていたり、監獄施設内にも雇用されている(ボーナの「監獄屯田兵村」という言い方があって、リベリオ屯田兵村と並び称されている?)。そもそもが荒くれ者たちの集団であるため、魔族ギャングですら恐れてヘタに手を出せないらしい。
退廃した都市ボーナを一日以上は離れた荒野に、それは存在する。
通称「ハイエナ監獄」または「監獄要塞村」。
そこには、このボーナの地方と地域だけでなく、周辺の都市や地域からも、委託で投げられて送られてきた凶悪犯・悪質犯罪者たちが圧倒的多数で集結している。
彼らはもはや更生など求められていない。せいぜい「二度とシャバに出てこないでくれ」「死んでくれ」としか思われていない者たちだ。あるいは「普通に死刑にするくらいでは犯してきた罪と釣り合いがとれない」のである。
適度な苦痛と絶望を与え続け、また刑務所施設の運営費や生活費のため、農作業や出向での鉱山労働なども課せられている。だがもう一つの目的は魔族の直接支配下の領域に対峙する「最前線の要塞」としての役目もある。
そのため、特殊な「村」としての側面があって、必ずしも囚人たちへの懲罰と虐待だけが役割ではない。むしろその「監獄要塞」施設とシステムの存在によって、もはや救いようのない者たち(死ぬか殺されるしかない)が最低限でも人間として生きられる「最後の楽園」という一面もある。恩赦を得て減刑・釈放許可や自由身分になっても自発的に「雇用兵士」としてとどまる者もいたし、行いによって「囚人農奴」や「囚人奴隷戦士」としての地位を与えられる者も多かった。
彼らは独特の村と集団を作り上げている。
指揮をとるのは獄長ロイ・ロドリゲス。人間の勇士の父とハイエナ氏族エルフの母から生まれた豪傑で、都市防衛軍の戦士団では上級大尉を勤めた男。そしてキランの伯父でもある。
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そこはまさに要塞、石の壁が囲っている。
内部からの脱走のみならず、外部からの侵攻をも跳ね返すトラップと監視の防衛地帯。逃亡や反抗は固く禁じられ、日々に割り当てられた労働を課され、非常時には戦って死ぬことが半強制的に求められるのだが、そこには「秩序と正義と救い」もあるのだという。
ある囚人が語ったことには「最初からここに来ることが出来ていれば、俺は凶悪犯の死刑終身囚になんかならずに済んだだろう」と。
たしかに内部では懲罰や喧嘩はあるのだが(たまに死亡者も出る)、看守役のプロの職業軍人たちや囚人兵士たちが監督して規律があるために、「ほどほど」で済んでいる(ギャング集団・スラムの理不尽で際限ないリンチの恐怖よりはよほどましだった)。勤務態度と努力次第で要塞内での兵士としての階級も与えられるし、衣食や娯楽・慰安もそれなりに与えられる慈悲深さ。自由や人権が制限されているとはいえ、ギャングの支配する退廃した区域・地域の無法地帯よりよっぽどベターな可能性すらあった。
ここに来て「字が読めるようになったし計算も出来るようになった」という奴もいる。刑務所内の通貨ポイントがあって、多少は必要な買い物もできるし、残してきた家族や被害者遺族たちへの僅かながらの賠償(通貨に換算される)や文通・プレゼントも許されている。そして何より魔族との戦いで戦死した場合(または危険な労働で死亡した場合)には、出身地域で「志願兵の戦死者・殉職者に準じて」扱われるように配慮される(通常よりは少額でも、家族・遺族のために一時金が出たり名誉も回復され、多少は「罪を償った」として「尊厳を取り戻せる」)。
本人たちも自分のどうしようもなさや犯罪と暴力を止められない病んだ性質を自覚はしつつ、「ようやく本当の自分を取り戻せた、屑でもこういう生き方も出来るとわかった」という見方もある。死亡や戦死した際に、被害者遺族曰く「死んでくれて良かったしホッとしたし嬉しいけれども、彼の魂が救われることは否定しない」「天国にいって被害者に謝ってこい」という優しい言葉もあり、不完全で歪んだ形なりにもわかりあえて許して貰えることも多いようだ(良かったね!)。
そんな具合であるため、「特に死刑判決の重罪や犯罪者でもないのに、自分たちから自発的に集まってくる連中」もいて、そいつらが近くにキャンプ村を作っていたり、監獄施設内にも雇用されている(ボーナの「監獄屯田兵村」という言い方があって、リベリオ屯田兵村と並び称されている?)。そもそもが荒くれ者たちの集団であるため、魔族ギャングですら恐れてヘタに手を出せないらしい。