ハイエナ令嬢:幼なじみの年下魔王
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 せっかくいいとこだったのに(?)
 そのとき、突然に往来で奇声が鳴り渡った。
 二人がふと見れば、刃物を持った尋常でない面持ちの男が三人ほど凶行に及ぼうとしているところだった。この辺りではあまり見ない顔であるし、他の街区地域から来た奴らだろう。
 つまり、別の敵対的なギャングの嫌がらせ。
 麻薬でイカレた連中をけしかけてくるのだ。

「うおおお! ふうううふぉおおお! くくーる・カーンの残酷の神よ! 生贄を捧げます!」

「新記録達成してやる! 二十人は殺れるぜえ!」

「ゼゼゼの絶好調です! れっつ、カーニバル!」

 今まさに、無差別殺戮テロの二秒前。
 キランは無言でダッシュして、一人目をラリアットで吹っ飛ばす。二人目は顎を蹴り砕いて首をへし折った。わけもわからず「うふぇふ」と笑っている三人目の刃物を払い落とし、前蹴りで金的を蹴り潰す。キョトンとしている(ヤク中で苦痛が足りない?)ので、顎先に可憐な右フックで揺らして脳振盪で轟沈させる。
 獣エルフは運動能力が高いのが常だったが、ハイエナ氏族は上位に位置する戦闘能力を誇る。

「はああ~」

 キランはうんざりして、ため息をついた。
 こんなふうだから、アハ団の(業務と兼ねた)監視パトロールは日常に不可欠なのだ。

「「これ」だよ!」

 アレクセイに愚痴った直後に、四人目が飛び出してきて、そいつはシラフの刺客暗殺者らしかった。キランを刺そうと不意打ちに突撃してきたところを、アレクセイが魔法の鞭(ロープ状の光の物理攻撃)で卒倒させる。
 目の前の干物屋が燃え上がったのは放火されたのだろうか?

「うっわ! ミーシャを呼べない? 魔術でどうにかできるから」

「僕でもできるけど」

 アレクは霧を発生させて、火炎を高密度に包み込んでいく。完全に鎮火したのは一分後だった。
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