やさしく、恋が戻ってくる
抱かれるなんて、もう二度とないかもしれないと、
どこかで諦めていた。
だから、いま、こうして抱かれたことが、ただもう、夢のようだった。
言葉では表せないほどに、やさしく、丁寧に触れてくれた。夫としてではなく、父親としてでもなく。
ただ、「男」として、「女」として。
こんなふうに愛されたのは、いつ以来だったろう。
思い出せないほどの、長い時間が流れていたのに。一瞬で、身体も心も、あの頃の自分に還っていく。
“わたしはまだ、愛される存在なんだ”
そう思えたとたん、胸の奥にふわりと灯りがともった。やわらかく、あたたかく、まるで春の陽射しのように。
そして気づく。
こんなにも、夫を愛していたのだ、と。愛されたかったのだ、と。
重ねた年月のぶんだけ、触れられた体温が愛おしい。優しく包まれるたび、ひとつずつ、こわばっていた心がほどけていく。
ありがとう、こうちゃん。忘れずにいてくれて。もう一度、わたしを“女”として迎え入れてくれて。
静かに瞳を閉じた今日子は、胸の奥に広がるこの喜びを、誰にも言わず、そっと抱きしめた。
どこかで諦めていた。
だから、いま、こうして抱かれたことが、ただもう、夢のようだった。
言葉では表せないほどに、やさしく、丁寧に触れてくれた。夫としてではなく、父親としてでもなく。
ただ、「男」として、「女」として。
こんなふうに愛されたのは、いつ以来だったろう。
思い出せないほどの、長い時間が流れていたのに。一瞬で、身体も心も、あの頃の自分に還っていく。
“わたしはまだ、愛される存在なんだ”
そう思えたとたん、胸の奥にふわりと灯りがともった。やわらかく、あたたかく、まるで春の陽射しのように。
そして気づく。
こんなにも、夫を愛していたのだ、と。愛されたかったのだ、と。
重ねた年月のぶんだけ、触れられた体温が愛おしい。優しく包まれるたび、ひとつずつ、こわばっていた心がほどけていく。
ありがとう、こうちゃん。忘れずにいてくれて。もう一度、わたしを“女”として迎え入れてくれて。
静かに瞳を閉じた今日子は、胸の奥に広がるこの喜びを、誰にも言わず、そっと抱きしめた。