響け、希望と愛の鐘
優美の住むマンションは、駅から15分の静かな住宅街にある。

 3階建ての建物で、彼女の部屋は最上階の角。

日付が変わった頃、優美は事務所を出て、電車を降り、いつもの道を歩いていた。

 街灯がまばらに光る路地で、足音が響く。

 振り返ると、誰もいない。

「こわっ。
早く帰ろう」
 
背筋に冷たい気配が走る。

コンビニの明かりが見えた時、遠くの角で黒いフードの男が立っているのに気づいた。

 男は動かず、じっと優美を見つめる。

心臓が跳ね上がり、彼女は足を速めた。

 
コンビニの店員に、誰かにつけられていると訴えた。
 
若気のせいじゃないかと言うように鼻で笑うだけだった。

 店を出ると、男は消えていた。

 だが、安心できない。

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