響け、希望と愛の鐘

迫る恐怖

アパートに着くと、郵便受けに異変があった。

 デモのチラシが引きちぎられ、「やめろ」と赤いマジックで殴り書きされている。

 優美の手が震え、鍵を開けるのに手間取る。

部屋に入り、ドアを施錠した。

この家はオートロックだ。
 それに、指紋と虹彩認証をしていない人が、この家に入ろうとするとドローンが追跡する。

 そして、その輩の特徴が、麗眞さんのいる宝月財閥(ほうづきざいばつ)のサーバーに送られる仕組みだ。

ちなみに、そのデータは、必要と判断したら警視庁に送られる契約になっているという。

 窓の外でガサガサと物音がした。

 カーテンをそっと開けると、駐車場の暗がりにフードの男が立っている。

 目が合った瞬間、男がニヤリと笑い、ゆっくり歩き去った。

その夜、優美は眠れなかった。

 インターホンが明け方に鳴り、ドアの外で誰かが動く気配がした。

 
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