拾った猫が連れてきたのは傷だらけの不良くんでした
「助かった。邪魔したな。」


その二言だけを告げて部屋を出ると


バタン!


……は?なんだこの音は。


……いや、気にしなくていい。俺には関係ないことだ。さっさと出ていけば……


……


ドアをそっと開くとさっきの女がうつ伏せで倒れていた


「……マジかよ」


演技かもしれない。……そう、俺の中の心が問いかけてくるのを感じる。


だが、見れば一目瞭然なわけで


女を仰向けにすると、苦しそうに表情を歪めていた


……触りたくない。


そんな思いが溢れてくる。本当はこいつなんて気にせずさっさと出ていけばいい


………はぁ


だが、倒れていたところを助けてくれたのも事実だ。
こんなことで女なんかに借りを作りたくはなかった


床に倒れている女を持ち上げベットに置く


「……」


軽すぎるな


よくみるとメイクなんかもしてない


異様に軽い体に、目元を覆っている髪か……


それに、それなりの時間俺はこの家に居たはずだが、……この女の家族が来る気配はない。


単に俺が寝ている間に仕事にでも出かけたのか……いないのか。


まぁ、どちらにせよ関係ない。


額についている冷えピタをはがし、女をみると汗をかき顔を歪めていた。
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