ポーカーフェイスの二人は相思相愛で甘々で

7★

ベッドの上。

雪乃は蓮の胸に頬を押し当てたまま、蓮の指を両手で包んでいた。
まだタオルはかろうじて身に纏っているものの、熱い空気が二人を包んでいた。

「……蓮。」

「ん?」

「医者ってさ……学生結婚、多いんだって。」

蓮の指がぴくりと動く。

「……聞いたことある。」

「やっぱり大変だから、支え合うんだって。」

「うん。忙しいし、すれ違うことも多いし……。」

雪乃は少しだけ顔を上げ、無表情のまま、でも瞳を蓮に向ける。

「……わたしたちも、学生のうちに結婚しちゃう?」

蓮が一瞬息を飲んだ。

「え。」

「だって、どうせ一緒になるなら早い方がいいかなって。」

「……雪乃、さらっとすごいこと言う。」

「そうかな。」

「……本気で言ってる?」

雪乃はタオルをぎゅっと握ったまま、小さく息を吐く。

「……本気。蓮と離れたくないもん。」

「雪乃……。」

蓮は雪乃の髪をそっと撫でる。

「おれも、雪乃となら……学生結婚もいいって思う。」

「……ほんと?」

「ほんと。雪乃が産婦人科医になるのも、小児科医になるおれも、お互い支えられる気がする。」

雪乃はほんの少し唇を緩めた。

「……赤ちゃんできちゃったら、どうする?」

蓮の頬が一瞬赤く染まる。

「それは……責任取るしかないでしょ。」

「……じゃあ、やっぱり結婚するんだ。」

「うん。……雪乃、おれと結婚してくれる?」

雪乃は一瞬黙ったあと、無表情のまま首を縦に振った。

「うん。……わたし、蓮とじゃないとやだ。」

蓮が思わず雪乃を抱きしめ、耳元に囁く。

「雪乃と結婚したら、毎日触り放題だよね。」

「……ばか。」

「赤ちゃんも、一緒に作れる。」

「……そんな簡単に作れるものじゃない。」

「でも雪乃、おれが触るとすぐ……」

「言わないで……。」

雪乃が蓮の口を塞ぐようにキスをする。

キスが終わると、雪乃が小さく呟いた。

「……医者って、結婚遅い人も多いのにね。」

「でもおれたちは早くてもいい。早く雪乃の名字になりたい。」

「……それは、わたしの方が蓮の名字になるんじゃないの?」

「どっちでもいい。雪乃と家族になれたら、それでいい。」

雪乃は無表情のまま、でも頬を赤らめる。

「……家族って、いいね。」

「うん。雪乃が家族なら、最強。」

雪乃が小さく笑ったように見えた。

「じゃあ……今日も、いっぱい触れていい?」

「……もちろん。」

蓮はそっと雪乃を押し倒し、静かな部屋に再び甘い吐息が響きはじめた。

二人の未来は、まだ先のことだけど。
その夜は、確かに“家族になるかもしれない”実感を、甘く熱く交わし合ったのだった。
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