俺様な忠犬くんはご主人様にひたすら恋をする
「土曜日、どこか行こう」

いつものように、藤堂からLINEが届いた。

いつもと変わらない、短くて、やさしい誘い。
だけど、胸の奥がチクリと痛んだ。

──もしかしたら、告げられるのかもしれない。

アメリカ出向の噂。
藤堂の微妙な態度の変化。
あのときみたいに、言葉じゃなくて、行動で示されてしまうんじゃないかって。

「うん。行こう」
指が震えながらも、そう返していた。

会いたい。話したい。
でも──聞きたくない。

返信を送ったあと、私はスマホを伏せた。
胸の中に、ざわつくような風が吹いている。

また、あのときみたいに。
私は試されるんだろうか。
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