俺様な忠犬くんはご主人様にひたすら恋をする
「ちょっと、来い」
藤堂は私の腕をひいて、廊下を歩いた。
近くの会議室。
無理やり連れ込まれるようにして入ったそこは、ドアが閉まると、外の世界とは完全に切り離された。
私は腕を振り払って、彼と距離を取った。
「電話番号、変えたのか?」
静かな声。でも、その下には確実に怒りがあった。
「ええ。変えました」
「引っ越しも?」
「しました。去年にはもう」
「なんでだ。俺に何も言わずに、全部消すなんて――」
「……だって、もうあなたとは関係ないから」
視線をぶつける。
表情を崩さず、淡々と。
彼の眉が、わずかに動いた。
「……俺がまだ、お前のこと想ってるなんて、思わなかったか?」
「考えてません」
「嘘つけ。お前のそういうところ、ずっと変わってない」
「……」
沈黙。
そして私は、静かに口を開いた。
「私が終わらせた。3年前に。
そう言ったでしょ、あのとき。『私はついていかない』って」
彼は何も言わない。
だから私は、続けた。
「……あなたも、それを受け入れたじゃない。
3年間、一度だって連絡なんてしてこなかったくせに」
静かな声だった。
でもその奥には、ずっと張りつめてきた痛みがあった。
「何度も携帯を見て、あなたの名前を探したよ。
でも、あなたからは、何ひとつ、なかった」
だから私は、自分の手で全部を終わらせた。
電話番号も、住所も。
思い出の詰まったあの部屋も、全部。
そうしないと、あなたの影から逃げられなかった。
「……もう、私には“今”があるの。
あなたがいない、ちゃんとした今が」
私は、扉に手をかけた。
そのまま出ていく。
過去を、置いて。
けれど背中に、あの声が追ってきた。
「……じゃあなんで、まだそんな目で俺を見るんだよ」
言葉に詰まった。
返せない。
ただ一歩だけ、前へ出ることだけが、私にできた選択だった。
藤堂は私の腕をひいて、廊下を歩いた。
近くの会議室。
無理やり連れ込まれるようにして入ったそこは、ドアが閉まると、外の世界とは完全に切り離された。
私は腕を振り払って、彼と距離を取った。
「電話番号、変えたのか?」
静かな声。でも、その下には確実に怒りがあった。
「ええ。変えました」
「引っ越しも?」
「しました。去年にはもう」
「なんでだ。俺に何も言わずに、全部消すなんて――」
「……だって、もうあなたとは関係ないから」
視線をぶつける。
表情を崩さず、淡々と。
彼の眉が、わずかに動いた。
「……俺がまだ、お前のこと想ってるなんて、思わなかったか?」
「考えてません」
「嘘つけ。お前のそういうところ、ずっと変わってない」
「……」
沈黙。
そして私は、静かに口を開いた。
「私が終わらせた。3年前に。
そう言ったでしょ、あのとき。『私はついていかない』って」
彼は何も言わない。
だから私は、続けた。
「……あなたも、それを受け入れたじゃない。
3年間、一度だって連絡なんてしてこなかったくせに」
静かな声だった。
でもその奥には、ずっと張りつめてきた痛みがあった。
「何度も携帯を見て、あなたの名前を探したよ。
でも、あなたからは、何ひとつ、なかった」
だから私は、自分の手で全部を終わらせた。
電話番号も、住所も。
思い出の詰まったあの部屋も、全部。
そうしないと、あなたの影から逃げられなかった。
「……もう、私には“今”があるの。
あなたがいない、ちゃんとした今が」
私は、扉に手をかけた。
そのまま出ていく。
過去を、置いて。
けれど背中に、あの声が追ってきた。
「……じゃあなんで、まだそんな目で俺を見るんだよ」
言葉に詰まった。
返せない。
ただ一歩だけ、前へ出ることだけが、私にできた選択だった。