あなたに恋する保健室
震えるように返事をしたその声は、寂しさや苦しさなどが混じっていたようにも聞こえた。
「弟がいたんだ。私が十二歳の時に白血病で亡くなったの」
私と一緒にシーツを整える手を止めず、軽い口調で話し始めた。
「もう三年も前の話なのにさ。弟が死んだこと自体は受け入れられたのに、何かまだ心につっかえてる気がして……」
くしゃくしゃになってしまっているシーツを引っ張って、シワがなかったかのように綺麗に伸ばす。
「弟が亡くなってからここに入学して。最初は難なく通えていたの。でも、だんだん心が辛くなってきて通えなくなったんだ。人と関わることが辛いというか、なんなんだろうね。私はそう思っていたんだけど……違うのかな」
彼女はずっと悩んでいたのだろう。
自分だけでは辿り着けない名付けられない感情。その正体を知りたくて苦しんでいるんだ。
氷室さんはたくさん話してくれた。シーツ交換が終わり、窓際にパイプ椅子を持ってきて空や花壇を眺めながら。
「私も同じようなこと、あったからなぁ」
そこで、私自身の話はあまりしないようにしていたけれど、してみようと思った。今がその時だと感じた。
「先生も?」
「うん。看護師として病院で働いていた時ね。たくさんの患者さんの最期を見送ってきたんだ」
ここで私は言葉に詰まってしまった。
おかしい。なんでだろう。急に目頭が熱くなってきてしまった。
泣いてはダメ。私は大人で、この子に心配をかけさせてはいけない。私がケアをする立場にあるんだ。
そう言い聞かせて必死に堪えた。
「弟がいたんだ。私が十二歳の時に白血病で亡くなったの」
私と一緒にシーツを整える手を止めず、軽い口調で話し始めた。
「もう三年も前の話なのにさ。弟が死んだこと自体は受け入れられたのに、何かまだ心につっかえてる気がして……」
くしゃくしゃになってしまっているシーツを引っ張って、シワがなかったかのように綺麗に伸ばす。
「弟が亡くなってからここに入学して。最初は難なく通えていたの。でも、だんだん心が辛くなってきて通えなくなったんだ。人と関わることが辛いというか、なんなんだろうね。私はそう思っていたんだけど……違うのかな」
彼女はずっと悩んでいたのだろう。
自分だけでは辿り着けない名付けられない感情。その正体を知りたくて苦しんでいるんだ。
氷室さんはたくさん話してくれた。シーツ交換が終わり、窓際にパイプ椅子を持ってきて空や花壇を眺めながら。
「私も同じようなこと、あったからなぁ」
そこで、私自身の話はあまりしないようにしていたけれど、してみようと思った。今がその時だと感じた。
「先生も?」
「うん。看護師として病院で働いていた時ね。たくさんの患者さんの最期を見送ってきたんだ」
ここで私は言葉に詰まってしまった。
おかしい。なんでだろう。急に目頭が熱くなってきてしまった。
泣いてはダメ。私は大人で、この子に心配をかけさせてはいけない。私がケアをする立場にあるんだ。
そう言い聞かせて必死に堪えた。