あなたに恋する保健室
「何? 俺の恋愛事情、気になるか?」
 わざとらしく京ちゃんはニヤニヤしながら言う。
「ちがう! なんでもないから気にしないで! それより、ちょっと喉乾いちゃったな、何か飲み物もらえない?」
 私は京ちゃんの肩を軽く叩いて話題をすり替えるように尋ねた。
 京ちゃんに本心をまだ隠していたかった。
 まだあなたに気持ちを伝えられるほど、強くなれていないから。
「冷蔵庫にペットボトルの麦茶あるから、それ出していいよ」
「ありがとう。じゃあもらうね、……わッ!」
 私がイスから立ち上がって歩き出した瞬間のことだった。
 足をテーブルに引っ掛けてしまい転びそうになる。
 このままでは倒れてしまう、と思ったら、後ろから京ちゃんが私の腕を掴んでくれた。
 私は反射で後ろを振り向くと、京ちゃんの引っ張っていた力につられて再びバランスを崩してしまう。
 気づけば視界はテーブルより低くなっていて……。
 倒れた私は京ちゃんを下敷きにしていた。
(京ちゃん、胸板厚いし広い……)
 トラブルといえど、京ちゃんの身体に触れてしまい硬直してしまった。
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