あなたに恋する保健室
(公私混同ダメ! ゼッタイ!)
軽く自分の頬を叩いて渇を入れる。
ついクセで『京ちゃん』呼びや敬語が抜けてしまいそうになったから。ここでは彼は先輩で私は新人。年齢も四つも違うし。そこは守らなくてはいけない。
京ちゃんはもういないというのに、黒のソファにまだ彼が座っているかのような余韻が残っている。
(なんだか変わったなぁ、京ちゃん……)
彼との再会は突然すぎた。
私の無防備な心に、京ちゃんの存在が大きく刻まれた気がする。
もう既に彼のことが気になって仕方ない。
「集中っ……」
机の上に出していた引継ぎノートを手に取り、強引に意識を戻そうとする。
すると、とあるページに辿り着く。
両開きでびっしりとたくさんのメモが書かれている生徒がいた。
「……氷室はるか、さん……?」
その子には赤ペンで二重線が引かれていた。名前のすぐ下には『要配慮。カウンセリング対応あり』とある。
私は気がつくと自然とその子の情報を食いつくように読んでいた。
「弟を亡くしたことが原因と思われる、か……」
ぐっと眉間に力が入ってしまう。私は一旦ノートを閉じて、深呼吸をしてリラックスしようと試みる。
「看取り……」
軽く自分の頬を叩いて渇を入れる。
ついクセで『京ちゃん』呼びや敬語が抜けてしまいそうになったから。ここでは彼は先輩で私は新人。年齢も四つも違うし。そこは守らなくてはいけない。
京ちゃんはもういないというのに、黒のソファにまだ彼が座っているかのような余韻が残っている。
(なんだか変わったなぁ、京ちゃん……)
彼との再会は突然すぎた。
私の無防備な心に、京ちゃんの存在が大きく刻まれた気がする。
もう既に彼のことが気になって仕方ない。
「集中っ……」
机の上に出していた引継ぎノートを手に取り、強引に意識を戻そうとする。
すると、とあるページに辿り着く。
両開きでびっしりとたくさんのメモが書かれている生徒がいた。
「……氷室はるか、さん……?」
その子には赤ペンで二重線が引かれていた。名前のすぐ下には『要配慮。カウンセリング対応あり』とある。
私は気がつくと自然とその子の情報を食いつくように読んでいた。
「弟を亡くしたことが原因と思われる、か……」
ぐっと眉間に力が入ってしまう。私は一旦ノートを閉じて、深呼吸をしてリラックスしようと試みる。
「看取り……」