オフィスでは忠犬、でも二人きりになると獣でした~年下部下の甘すぎる独占愛~
助手席に座った瞬間から、私はもう、息の仕方を忘れていた。

彼が笑えば笑うほど、私だけが知ってる“裏の顔”を思い出してしまう。

そしてその“顔”が、怖いほどに――嫌いじゃなかった。

「今日は、直帰しますか?」

運転席の藤堂君がふと問いかけた。

私は窓の外を見た。雲ひとつない青空が、まぶしいほどに広がっている。

「……そうだね。」

そう答えると、彼はなぜかそのまま、海沿いの見晴らしの良い駐車スペースへ車を止めた。

「いい景色ですね。こういうとこ、落ち着きます。」

そう言いながら、彼は背もたれを少し倒した。

つられて私も、座席を少し倒した――

その瞬間、「しまった」と思った。

気を抜きすぎた。

ふたりきりの車内で、密着した空気。

視線が交わる距離に、私の顔を覗き込んできた藤堂君がいた。

「課長……男を知らなすぎますよ。」
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