オフィスでは忠犬、でも二人きりになると獣でした~年下部下の甘すぎる独占愛~
でも、正直に言うと――私はこの“わんこ系男子”が苦手だ。

最初は人懐っこく甘えてくるくせに、

面倒を見切れないとわかると、あっさり手のひらを返す。

「優しい俺」を演じてるだけ。何人もそういう男を見てきた。

藤堂君も、きっとそう。

「……あっ、藤堂君。」

声をかけると、すぐにこちらを向く笑顔は、まるで子犬のようだ。

今日は新人が来た日だった。

「ごめん、新人の研修お願いできる?私の方はいいから。」

自分でも自然に言ったつもりだった。主任という立場なら、当然のこと。

でも、藤堂君は――なぜか、悲しい顔をした。

「……課長は、俺のこと、いらないんですか?」

その一言が、思いのほか胸に響いた。

「ええっと、そうね。」

いつもの調子で返したのに、彼のまなざしは変わらなかった。

寂しさと、怒りと、何かをぐっと堪えるような、強い目。

私は、知らなかった。

“あの人懐っこい笑顔の下に、本物の執着が潜んでいた”なんて――。

< 4 / 14 >

この作品をシェア

pagetop