オフィスでは忠犬、でも二人きりになると獣でした~年下部下の甘すぎる独占愛~
そんなある日のことだった。

会議資料の入ったバインダーを両腕に抱えて、廊下を歩いていた私。

視界はバインダーで塞がれ、足元もよく見えない。

「わっ……!」

ヒールが引っかかり、体が大きく傾いたその瞬間――

ガシッと、誰かの腕に支えられた。

「きゃっ……!」

「大丈夫ですか?」

耳元で落ち着いた声がする。

肩に回された腕が、驚くほどたくましく、そして……胸元が、意外なほどに柔らかくて温かかった。

たったそれだけの接触なのに、私はなぜか“男”を感じてしまった。

「あっ……はい、ありがとう……」

顔を上げると、そこにはいつもの藤堂君の笑顔。

けれど、ほんの一瞬だけ、彼の瞳がまっすぐすぎて――息が詰まりそうになった。

彼は私の腕からバインダーをすっと奪い取ると、そのまま軽々と抱えてデスクへ。

「重かったでしょう?何でも言ってくださいね、朝比奈課長。」
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