オフィスでは忠犬、でも二人きりになると獣でした~年下部下の甘すぎる独占愛~
その後ろ姿が、いつもより少しだけ、頼もしく見えたのは――気のせい、だと思いたかった。

そして、二日後の午後。

微熱を押して出社した私に、栄養ドリンクを差し出したのは――誰でもない、藤堂君だった。

「課長、今日は早退してください。」

そう言って、私の背中にそっと上着をかけてくる。

さらに、私のカバンまで手に取って持ち始めた。

「ちょ、あなたね。そんな簡単に休めると思ってるの?」

私は反射的に言い返す。

でも。

「……俺がいるんで。」

そう低く言って、私を覗き込んできたその目は、いつもの“わんこ”の瞳じゃなかった。

優しさに隠された強引さ。

黒曜石みたいな瞳に射抜かれ、思わず心臓が跳ねる。

あんな目、されたら……意識しちゃうじゃん。

「ほら、課長。」

私が戸惑っている間に、彼は私の腰に腕を回し――

そのまま抱きかかえるように支えた。
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