お飾りの妃をやめたら、文官様の溺愛が始まりました
文翔の小さな手を、王景殿が指先で撫でる。

「これが、おまえの子か。……まるで昨日、おまえを抱いた時のことのようだ。」

景文は、ふっと目を細めた。

「あなたが育ててくださったから、私は今ここにいます。」

二人のやりとりに、私は胸が温かくなる。血のつながりなど関係なく、この人たちは本当に、家族だった。

そして――

しばらくして、私の弟たちが王都へ呼ばれた。

すべては景文の計らいだった。

「君の家族も、君と同じように守られるべきだ。」

そう言ってくれた言葉を、私は忘れない。

新しい住まいで、弟たちは学び、笑い、時に文翔と遊ぶようにもなった。

私はこの屋敷で、母となり、妃として歩き出す。

風に揺れる花の香りが、遠い日々の記憶を連れてくる。

あの冷たい屋敷で、肩を寄せ合って生きてきたあの頃。

それを思えば、今は夢のようだった。

――私の人生も、これから花開くだろう。

それは、誰かに与えられた幸せではない。

私自身が、掴み取ったものだから。


ー End -
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