姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
「愛想はないしすぐサボるし!
もー、せっかくお客さん呼べる見た目してるのにもったいない!もっとやる気出して!」
一人一人を指さしてガミガミ怒る有馬美咲の剣幕に、傑兄ちゃんと広瀬真は申し訳なさそうにしている。
にも関わらず、私と近江涼介、榛名聖はしらっと動じない態度だ。
説教が効果なしと悟って、有馬美咲は教育方針を即座に転換したらしい。
「……わかった、じゃあ頑張ったらご褒美をあげます。」
私達の目の前に、イルカの写真が売っている紙切れを2枚出してきた。
「6人いるから、3ペアに分かれて売り上げた総数で勝負!
1位には水族館ペアチケット進呈。どう?」
その言葉に一同ピタリと動きを止める。
(……くだらな。)
(ペアチケ…!?姫と誰かがデート!?阻止せねば!)
(水族館はどうでもいいけど、なんか面白そ〜。)
(姫の手に渡るのだけは止めようかな。)
(まためんどくせーことになった……。)
(水族館!?みんなで行きたい!)
各々思うところは様々あったようだけど、1番最初に反応したのはもちろん私だ。
「その勝負、乗ったァ!」
かくして、海の家凪の売り上げバトルの戦いの火蓋は切って落とされたのである。