姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.85 1stペア:聖&渉
海の家凪の店内は、畳が敷かれた小上がりの飲食スペースと、小さなカウンターキッチンで構成されている。
聖はホール係、渉はキッチン係でオーナーである美咲の叔父の手伝いを任された。
「お兄さん♡焼きそば2つくださぁい♡」
「聖くん、こっちもお願いしまーす♡」
「は〜い、ちょっと待ってねぇ。」
古くて地味な店内は、キャピキャピしたギャルで溢れかえっている。
ギャルとキッチンの間を榛名聖は優雅に行ったり来たりしていた。
「なんかウチの店が洒落た喫茶店にでも見えてくるなぁ!」
大きな鉄板の上で焼きそばを焼く店長が、ホールを見ながらガハハと豪快に笑った。
「ですねぇ。女性客が多いのと、聖くんの接客がゆったりしてるからですかね。」
キャベツを切ったりできたものをカウンターに運んだり、忙しそうに手を動かしながら渉も話を合わせている。
聖は1人で注文を取ったり、料理を運んだりと忙しく動き回っている。
それでもゆったりして見えるのは本人が醸す雰囲気のせいだ。