姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.116 今まで通り、でいいの?
翌日も近江涼介は学校を休んだ。
昼休みの旧校舎は、重苦しい静けさ。
昨日のことを全て話すと、広瀬真も榛名聖も言葉を失ってしまっている。
「――私は近江涼介をその状況から助けたいし、近江涼介にも助かりたいって思ってほしいんだけど……
近江涼介はそう思わないんだって。
ズタボロに殴られてるのに。頭おかしー。」
机に突っ伏してやさぐれる。
すると、広瀬真が冷静にツッコんできた。
「涼介にとってはそれが常態化してるからだろ。
いじめに慣れきってたお前と一緒!」
「ゔっ……確かに。」
ド正論にぐうの音もでない。
言葉に詰まっていると、榛名聖が先に口を開いた。
「助けたい気持ちは俺も一緒だけど、涼ちゃん家の家庭環境をどうにかするのは無理なんじゃないかな〜?」
榛名聖の真っ直ぐな目が私に現実を突きつける。
たぶん、これは優しさだ。
「下手に触ると余計に状況悪くしそうだし。
助けを求めても無駄どころか、ひーちゃんを苦しめるってわかってるから、はぐらかしたんでしょ。」
(……それもわかってる。)
感情のまま無鉄砲に突っ走っていい問題じゃない。
……わかってるんだけど。
「でもどうにかしたいから悩んでるんじゃない〜〜…!」
やりきれなさに激しく足をバタつかせる。
榛名聖がそんな私の背中を摩ってよしよしとあやす中、広瀬真が腕を組みながら口を開いた。
「俺の家だってなんも変わってねぇけど俺は救われたぞ。」