姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

Ep.116 今まで通り、でいいの?


翌日も近江涼介は学校を休んだ。

昼休みの旧校舎は、重苦しい静けさ。

昨日のことを全て話すと、広瀬真も榛名聖も言葉を失ってしまっている。


「――私は近江涼介をその状況から助けたいし、近江涼介にも助かりたいって思ってほしいんだけど……

近江涼介はそう思わないんだって。
ズタボロに殴られてるのに。頭おかしー。」

机に突っ伏してやさぐれる。
すると、広瀬真が冷静にツッコんできた。

「涼介にとってはそれが常態化してるからだろ。
いじめに慣れきってたお前と一緒!」

「ゔっ……確かに。」

ド正論にぐうの音もでない。
言葉に詰まっていると、榛名聖が先に口を開いた。

「助けたい気持ちは俺も一緒だけど、涼ちゃん()の家庭環境をどうにかするのは無理なんじゃないかな〜?」

榛名聖の真っ直ぐな目が私に現実を突きつける。
たぶん、これは優しさだ。

「下手に触ると余計に状況悪くしそうだし。

助けを求めても無駄どころか、ひーちゃんを苦しめるってわかってるから、はぐらかしたんでしょ。」


(……それもわかってる。)

感情のまま無鉄砲に突っ走っていい問題じゃない。
……わかってるんだけど。

「でもどうにかしたいから悩んでるんじゃない〜〜…!」

やりきれなさに激しく足をバタつかせる。

榛名聖がそんな私の背中を摩ってよしよしとあやす中、広瀬真が腕を組みながら口を開いた。


「俺の家だってなんも変わってねぇけど俺は救われたぞ。」
< 435 / 874 >

この作品をシェア

pagetop