姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
「……は?ふざけんなよ。」
細いながらも低いドスの利いた声に、モヤシ達はキョロキョロ辺りを見渡した。
どんなに探したって他の人はいるわけない。
その声の主は私なんだから。
足早にモヤシとの距離を詰めて胸ぐらを掴む。
予想外かつ突然の事態に、モヤシのイキリはバリッと剥がれておたおたしている。
「確かに近江涼介は冷血ロボットだし、榛名聖は誰にでもヘラヘラしてるし、金ぱ……広瀬真はバカだしすぐブスって言うけど。女遊びしてるとかどうとか知らないけど。
でも!でも誰よりも“私”を“見て”くれたの!!
私のこと褒めて、心配して、笑ってくれたの!
そんなことも知らないで、何もわかってないとか!
勝手に非道な人間扱いすんな!バァアアアカ!!!」
言い切って肩で荒く息をする。
清楚で純真で可憐な姫ちゃんの豹変によほど驚いたのだろう。
威嚇している猫みたいに目を剥いて歯を食いしばる私を目の当たりにして、モヤシ達は唖然として固まった。
「な……、なんてことだ……!姫ちゃん………!」
モヤシは口角を震わせみるみるうちに打ちのめされたような顔になる。
そして今度は逆にモヤシが私の手首を掴んできて、窓際に追いやられてしまった。
……あれっ?もしかしてこれ、ピンチ?
押し返そうとするけど、モヤシのくせに力は強い。
あと忘れてたけど私、寝不足だったんだ。