姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

「ちょっとぉ、そろそろ接客手伝ってくれなーい?」

榛名聖の余裕のなさそうな声にみんなで渋々立ち上がる。
ひょっこりと顔を出した目玉商品3人に、ギャラリーがまたワッと沸いた。

「あ、っあの、注文いいですかぁ?♡」

近江涼介をチラチラと恥ずかしそうに見ながら、自分の番が来た女が言った。

「えっとぉ、この“近江涼介”……くんのおにぎりをひとつ……」

「はーい♡“近江涼介”おひとつですね♡
やったね、近江くん♡お客さんいっぱいで嬉しいね♡」

さりげなく近江涼介を押し除けると、ぽかんとしている女に笑顔で注文のおにぎりを押し付ける。

僅かに片方の口角だけ更に上げて、そいつにだけわかるように勝ち誇って見せた。

それが煽りだと理解した女がカァッと赤くなって足音荒く去っていく。


「いちいち喧嘩しねーと気が済まねぇのかよ。」

「血の気の多い奴。」
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