姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
接客の傍で広瀬真が引き笑いして、押し除けられた近江涼介も呆れたようにこっちを見ている。
客に品物を渡し終えた榛名聖が、ひょこっと顔を出した。
「でもひーちゃんいいの〜?
ここで喧嘩売っちゃうとミスターコンの票が余計に散るんじゃない〜?
一応一般客投票もあるわけだし。」
(あっそうか。)
一理あると改めて長蛇の列を眺める。
男も少なくはないけど、見れば見るほど女ばかりだ。
「あのー……」
私の前に来た女が気まずそうにこっちを見ている。
黙ってその顔を見つめて損得勘定した後、とびっきりの笑顔を向けてやった。
「いらっしゃいませー♡ご注文は……広瀬真君ですか?
それなら直接本人から受け取っちゃってくださぁい♡
ねっ、真くん。よろしくね♡」
「潔いほど打算的な奴だな……。」
「でもしっかりマウントとるの忘れない辺りひーちゃんらしいよねぇ。」
すでに戦いは始まっている。
愛想のいい笑顔も、今日は女のために使ってやることにした。