姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.181 投石
イライラ、モヤモヤ。
ずーっと消えなくなっちゃった。
気づけば帰りのHRが終わろうとしていて、昼休み以降の授業の内容もあんまり頭に入っていない。
広瀬真とはなんか気まずくなっちゃったし、
近江涼介はいつも通り自分の席から微動だにしないけど絡みにいく気分ではないし。
(あ――――――。
もうなんなのよ、今日は!)
「ひーちゃん、ひーちゃん。」
両手で髪を掻き乱して机に突っ伏していると、上から緩い声が降ってきた。
「うわっ!ビックリした!」
驚いてガバッと起き上がり、声のした方を見れば榛名聖が鞄を肩にかけて立っている。
「HR終わったよ〜?帰ろう?」
「え、そうなの?」
辺りを見渡せば確かに着席しているクラスメイトもまばらで、みんな鞄を持って教室から出て行こうとしている。
前の席の広瀬真はまだ机に向かっているが、近江涼介はすでにいないし、どこからどう見ても放課後だ。
「全然気づかなかった……。」
「教室でぼーっとするなんて珍しいねぇ。
早くスーパー行かないと、夕方の混雑に巻き込まれちゃうよ〜?」
「ハッ……!そうね、早く行こ!」
慌てて荷物をまとめて立ち上がり、出入り口の方に体の向きを変える。歩き出そうとしたところで、未だ後ろ姿の金髪が視界の隅に映った。
「……じゃあね!」
「……おう、明日な。」
挨拶が返ってくることにホッとする。
まだモヤモヤしてはいるけどほんの少しだけ救われた気になって、榛名聖を急かして足取り軽く教室を後にした。