姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
Ep.19 クラゲみたいな奴
――そして、現在に至る。
なぜショッピングモールかと言われれば、まあ、なんでもあるし無難かなって。
「で?どうすんの?」
頭上から無機質な声が降ってきた。
近江涼介だ。
あんまりこだわりなさそうな大きめの無地のTシャツと、黒のテーパードパンツというどシンプルな格好なのに、いやそのせいかいつにも増して大人に見えるから憎らしい。
「うーん……?」
近江涼介の質問に、顎に手を当てて首を捻る。
周りを見ればファミリーもカップルも友達グループもキャッキャうふふと楽しそうに歩いているけど……。
「友達ってこういうところで何するの?」
「知らね。」
「…………。」
私と近江涼介の間に、沈黙が流れた。