姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
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ゲームコーナーを出てすぐの壁に凭れ溜め息を吐く。
数メートル先ではガチャガチャと煩わしいゲーム音や高くポップな音がいくつも重なって聞こえてきて、余計に私を疲れさせた。
「ひーちゃんはやらないの?UFOキャッチャー。」
榛名聖がやってきて、私の隣で壁に背をつく。
「やらないわよ……。
金髪があんなに盛り上がってる意味がわからない。」
向こうで未だにワイワイやっている2人を遠い目で見る。
あれが友達の在るべき姿なのか?
……とてもじゃないけど理解できそうにない。
金髪はアクリル板に額をつける勢いで前のめりになって、喜んだりショックを受けたり忙しそうだ。
それに付き合う近江涼介は面白そうでもつまらなそうでもない虚無の顔だけど。
操作ボタンのすぐ側には小銭が積んであって、その本気度にまた引いた。
「ところでひーちゃんは、なんでまーくんだけいつまでも“金髪”って呼んでるの〜?」
「私をすぐブスって言うバカだから。」
間髪入れない即答に、榛名聖がクスリと笑う。
「まーくんは社会経験0人間だからねぇ。
悪い子ではないんだけど、デリカシーないんだよねぇ。
……とっても過保護なんだよ、お家が。」
フォローをしたようで、なってない。
金髪を見つめながら、榛名聖はそう言った。
口元は相変わらず貼り付けたように弧を描いているのに、その目には何故か影を落とす。
その冷たさにドキリとして思わず釘付けになる。
私の視線に気づいた途端、榛名聖の目に落ちていた影がふっと消えて、まるで何事もなかったかのようにいつもの脱力した笑顔に戻った。
「そうだ〜。なんか取ってあげよっか?俺も結構得意なんだよねぇ。」
(……あれ?いつも通り?)
さっきの冷笑は気のせいだったのだろうか。
肩透かしを食らったような気持ちになりつつ、普通の態度を取り繕う。